愛してる?愛してない?!...
Kocha? ― nie kocha?!...
ボレスワフ・プルス Bolesław Prus
石波杏訳 Kyo Ishinami
ある夜、福音広場で友人のカロルに会った。彼は上を向いたまま行ったり来たりして、奇妙にふらふらと動いていた。ジグザグに走り、立ち止まっては引き返し、脇に逸れ、芝生を踏みつけたり若い木々にぶつかったりもした。
唇は乾き、顔は不健康に赤らんでいるように見えた。
少し経って彼はやっとこちらに気付き、熱に浮かされたように早口で喋り始めた。
「笑ってるのか? 気が狂ったと思っているんだろう。言っておくけど、僕は自分の狂気を君の教条的な平穏と交換する気なんかないぞ…。君たちの大きな問題などどうでもいい。愛、それこそが問題なんだ…」
「誰かを待っている?」私は尋ねた。
「もちろん!」彼は不必要に挑発的な口調で答えた。「僕が否定すると思ったか? そんなことはしない! 詳しく教えてやろう。僕はひと晩中ここで待っている。一週間さまよった後にでも彼女に会えて、彼女を見られたら幸せなんだ――たとえそれがたった数分でも」
「いずれにしても、かなり単調で退屈な過ごし方だね」
「僕はそれを刺激的な時間に変えている。時にはこう考えるんだ――彼女は既に僕を愛している、と。時には迷うこともある。彼女は僕を愛しているのか? たまに偶然を楽しむゲームを思いつくこともあって、広場の端から端まで、歩数を数えながら歩くんだ。『愛してる』、『愛してない』、『愛してる』、『愛してない』…でも今日はもっと僕の気分に合うゲームを考えついた。まず空の星をひとつ選ぶ。それから、その星が教会の丸屋根の真上に見える場所を探す。ちょうどいい場所がすぐに見つかって、僕の星が十字架の真上に輝いていれば、それは――『愛してる』という意味だ」
「どのくらいうまくいくの?」
「そこそこだ。言いようのない喜びを感じるよ」
「それじゃ、おやすみ」私は言った。
「おお!」彼は私の手を引っ張ってささやいた。「驚いたか? 自分の愛とその深さを、口に出せる勇気を持った人間がいたことに」
私は十数歩ほど歩き、歩道の近くで立ち止まった。友人はまたその訓練を始め、酔っぱらったようにふらふらしていた。
広場を通る道の曲がり角で、恋に落ちた男のすぐ近くに二つの影が現れた。カップルと孤独な男は互いに気が付かなかった。男はまだ星に夢中で、二人は会話に夢中だったからだ。二人は腕を組んでゆっくり歩き、親密に寄り添って、まるで一つになっているようだった。女性は頭を男性の肩にもたれさせて、男性は女性の手を握っているように見えた。
二人が歩道に近づくと、街灯の光が彼らを照らした。女性は例の彼女であり、男性は――私の別の友人、ヨゼフ氏だった。
彼らは私に簡単に挨拶して、それで済ませようとした。ただ彼女は緊張感を持って私の手を握り、涙でうるんだ瞳で私のメガネを見つめながら、小さな声で言った。
「カロルには知られないようにして。何も言わないで」
二人は去って行こうとしたが、彼女はもう一度振り返って、私に向かって指を突きつけ、鳩の羽ばたきのような声で付け加えた。
「もし言ったら怒るからね!」
私は確信している。その瞬間、わが友カロルは間違いなく、教会の丸屋根の上に星を見ていただろう。